うつ気味でご相談にみえた30代女性 M.Nさんが寄せて下さった体験談です

最初は正直、「胡散臭い・・・」と思っていました。ヒプノセラピーって。
でも、私は私を何とかしたかった。
以前みたいに自然に笑える私を取り戻したかったし、浅い呼吸しか出来ない毎日から脱却したくて「得体の知れないヒプノセラピー」(ごめんなさい・・・)に行ってみようと思ったのです。
勿論、一度試して「やっぱり怪しい」と感じたらさっさと逃げるつもりでした。
きっかけは、母親との大喧嘩でした。
年の離れた妹ばかり可愛がり、私のことは(勉強にしても家事にしても)思うような結果になってないと激怒する、
3歳くらいから往復ビンタは日常、妹やよその子と比べて
「暗い子、冷たい人間、かわいくない、ホンマに好かん、ごくつぶし、お前なんか死ね」
と罵倒するなど私の存在自体全否定の母親でした。
私が学校で貧血になり、意識が朦朧としながらそれでも授業を何とか最後まで受け顔面蒼白で帰宅すると
(帰りの掃除をしてこなかったという事で怒り)「サボリ!!怠け者!!」と罵るような人でした。
悲しいと思う気持ちを少しでも感じなくなるよう、母からのひどい言葉・行動を受ける度に私は心の壁を厚くして自らの感性を鈍くさせていきました。
ただ、やはり「どんな親でも、親は親」という意識はあり、結婚が決まってからは「あんな人だけど、やっぱり親だから大事にはしないと・・・」と余計思うようになったので、自分のストレスには封をして母と付き合っていました。
それが爆発したのは、結婚一年以内で中古マンションを購入したときのことです。
金利や立地その他のことを可能な限り徹底的に調べ、夫と二人で物件を見に行った上で購入したのですが、購入を親に相談しなかったこと自体気に入らなかったようで、それについてひたすら説教がありました(夫も私も実家が関西ではない)。
そのあと、費目について聞いてきたので「購入が幾らだったけど、旦那の親がお祝いで幾らくれたから半分貯金して半分(頭金で足が出た)リフォーム代に当てた。」と言うと「何で全部貯金せんの!あんたはリフォームと購入で幾らって言った!リフォーム代別だとは言ってなかった!あんたはいつもそうや!」と怒り出したのです。
そもそも、親に頼らず自分たちで頑張って貯めた頭金で買った(そしてこれから払っていく)マンションです。「私、説明したと思うけど・・・。
仮に、彼女の言うように私が言葉足らずの説明不足だったとしても、何が気に入らなくて一銭も出してもらってない人にこんなに激しく責められないといけないの」と思った瞬間激しい言い合いになりました。
そして私の中で今まで押さえ込んできた何かが弾け飛び、「もう、いい。この人と関わると私はマイナスに引きずられて幸せになれない」と感じた私は母と関係を絶つことを決めました。
母に振り回されているときもつらくストレスだらけの苦しい日々でしたが、距離をおくことを決めた日、それも新たな苦しい蟻地獄みたいな毎日の始まりでした。
私を縛ろうとする人、思い通りにならないと激怒する人がいなくなって私は自由なはずなのです。
それなのに私は、過去を思い出してはハラワタが煮えくり返るような思いをしたり、
「でも、親は親やろ。大事にしないと」という正当な(?)一般論と「だけど、粗末に扱われるのはもう御免や!」
という気持ちとの間で葛藤したりして悶々としているのです。
毎日毎日起きている間中延々と。
今まで「親だから」「もう、過去の事だから」と忘れた振りをしてきた分、まるでパンドラの箱を開けたように、過去の苦しく辛い出来事たちが次々に溢れ出して私を苦しめるのです。私が忘れていた事も何かが勝手に記憶の底から引きずり出してきて、「ほれ、見ろ!」と私の頭の中に並べて見せるのです。
そんなに苦しい状態でも、悲しみの表現を長い間封じ込めてきた私は泣くことが出来ませんでした。
その状態が1年ほど続きましたが、「このままだと私、おかしくなる」と思い始めました。
友達といても気を使って笑っているけど全然楽しくないのです。人と喋るのも何を話していいか分からないので気が重く、あんなにデパートが好きだったのに出掛けたくないのです。
家に籠っていたいのです。
なのに籠っていると焦る・・・
それに加え、夫との生活もちっとも楽しくありませんでした(私自身もカラカラに乾いた人間になっていたのだと思います)。
夫のやることなすこと気に食わず、何かをしてくれても「それは当たり前」、100%思うようになってないと「本当に気が利かない人!」とイライラしていました。
八方塞でノイローゼになりそうで、私はメンタルクリニックに行きました。
一番一緒にいる時間が長い夫がストレスだと取り違えていたのでしょう、
「夫がこうこうだからイライラして仕方ないんです。」とドクターに話しました。
ドクターは親切に自分の家庭を例に出してアドバイスをくれました。
話を聞いてもらったはずなのに、「何かが違う・・・」と思いました。
カウンセリングにも行きました。
そこで夫とのことを話しているうちに、問題の根っこは夫との関係ではなく親との関係にあると分かりました。
何回か通ったのですが、「あなたと話していると、すごく心が乾いているように思う。
過去に起こったことは変わらないし、お母さんを変えることも無理だから、あとは心のコップを自分の努力で満たすしかない。」と言われました。
言われている事は分かっても、私には心のコップの満たし方が分かりませんでした。
思い余って、以前から気になっていたヒプノセラピーを訪ねる事にしました。
金額の面もあり、何回くらいで終了するか気にはなりましたが「お金のことより今、私に必要なことを考えよう。」と思い通うことにしました。
勿論、「怪しいと思ったらいつでも辞めていい」というようなことを先生が言ってくれたので少し警戒が解けたということもありました。
何度かセッションを受けていくうち、見えてきたことが幾つかありました。
親から刷り込まれた「〜であるべき」「〜でなければならない」に縛られて自身を苦しめていた事。
頑張った自分を評価してやることも出来ないこと。
本当は私だって同じように愛されたり心配されたりしたかった事など・・・
セッションの最中は、寝てしまって先生の声は聞こえていたけど何を言われていたかよく覚えていないということもよくありました。
本当にリラックスしていたのでしょうね。
なかなか頑固な私でも、一進一退を繰り返すうち、少し自分にも感じられる良い兆候が出てきました。
ダメージを解消するのが早くなったこと。
怒りを長く持続させなくなったこと。
夫の変わった言動にも、以前ほど腹が立たなくなってきたこと。
母のことを考えている時間が明らかに少なくなったこと。
怒りのパターンから自分を回避させる方法を考えられるようになってきたこと。
「〜するのが常識」「〜であるべき」と前ほど思わなくなってきたこと。
先生から言われた「したくなければしなくていい」という事を自分に許せるようになってきたこと。
起こってもいない未来の事柄に対しておかしな心配をする事が減ったこと。
そうそう。人と接したときに、何か話さなきゃと焦る気持ちも少なくなりました。
子供の頃から「私は強いから何があっても平気なんだ」と自身に思い込ませて生きてきましたが、セッションを終えた今、素の私を認めていいんだと、もっと自分を大切にしていいんだと思うようになりました。
そして、まだまだ気分にムラはありますが、夫がしてくれることに対しても少し感謝の念を持つことが出来るようになってきています。
これが自分を大切にする結果としてついてくる産物なのでしょうね。
それも、ヒプノを受けて本来あるはずの自分に近づいてきたからでしょうか。
これからも人生のうちで色々なことが起こると思いますが、その度にセッションで受けた事を思い出しながら「私は私」ということを心の中心に置いて、
自分を追い込まずに生きていけると思います。
それでもどうしようもなくなったら、またお世話になりますね。


本当にありがとうございました。